「大腸カメラを受けたのに、ポリープが見逃されていたらどうしよう……」
先日、AIを活用した大腸内視鏡の診断支援システムがさらに進化し、医師の見逃しを防ぐ精度が向上したというニュースが発表されました。医療技術が日々進歩しているのは喜ばしいことですが、裏を返せば、それだけ「ポリープの見落とし」は医療現場において重要な課題であるともいえます。
実際、過去の研究では検査中に3割以上のポリープが見逃されていたという報告もあり、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、どうぞご安心ください。大腸がんは、適切なタイミングで精度の高い検査を受ければ、防ぐことができる病気です。
今回は、大腸ポリープを放置する本当のリスクや、当院が実践している「見落としを防ぎ、負担を抑える検査」の取り組みについて、専門医の視点から詳しくお話しします。
大腸ポリープを「放置してはいけない」本当の理由
健康診断などで「ポリープがありますね」と言われても、症状がないとつい放置してしまいがちです。しかし、ポリープを放っておくリスクは、単に「大きくなる」ことだけではありません。
1. 「腺腫」ががんの芽になる
大腸ポリープの多くは良性ですが、その中には「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれる、将来的にがん化する可能性が高いタイプが含まれています。大腸がんは、この腺腫が時間をかけて成長してがんになるケースと、正常な粘膜から直接発生するケースの2パターンがあります。
2. 進行すると体への負担が激増する
ポリープががん化し、さらに進行してしまうと、以下のような深刻な症状を招く恐れがあります。
- 腸閉塞:腫瘍で腸が塞がり、激しい痛みや嘔吐が起こる。
- 出血・貧血:腫瘍からの出血により、立ちくらみや息切れが生じる。
- 転移:他の臓器へがんが広がり、手術だけでは完治が難しくなる。
3. 「検査」がそのまま「予防」になる
大腸カメラの最大の強みは、ポリープを発見するだけでなく、条件が合えばその場で切除できる点にあります。つまり、がんの芽を摘み取ることで、将来の大腸がんを未然に防ぐ「究極の予防」に繋がるのです。
身体が出している「見逃してはいけないサイン」
大腸ポリープや早期の大腸がんは、残念ながら自覚症状がほとんどありません。「痛くないから大丈夫」という自己判断は禁物ですが、病気が進行してくると以下のようなサインが現れることがあります。
- ◆ 血便・便に血が混じる
- 「どうせ痔だろう」と放置するのは非常に危険です。
- ◆ 便通パターンの変化
- 急に便秘や下痢が続くようになった、便が細くなったと感じる場合は、腸の内腔が狭まっている可能性があります。
- ◆ 原因不明の貧血・残便感
- 目に見えない出血が続いていたり、直腸付近に病変があったりする際の特徴です。
- ★ 便潜血検査が陽性
- これが最も重要なサインです。症状がなくても、便潜血陽性は「精密検査が必要」という体からの警告と捉えてください。
当院がこだわる「見落としを許さない」検査体制
ニュースで報じられたAI技術の進化も素晴らしいものですが、最終的に診断を下し、処置を行うのは「人」です。当院では、ハード・ソフトの両面から検査の質を高める体制を整えています。
内視鏡専門棟による高度な環境
検査を受ける方専用の「内視鏡専門棟」を完備しています。プライバシーに配慮した落ち着いた空間で、リラックスして検査に臨んでいただけます。

精度の高い観察を支える「指標」の徹底
大腸カメラの質を維持するため、当院では以下のポイントを重視しています。
- 丁寧な腸管洗浄:大腸に便が残っていると、小さなポリープは簡単に見隠れしてしまいます。事前の下剤服用からしっかりサポートし、クリアな視界を確保します。
- 盲腸までの到達と抜去時の観察:大腸の最深部まで確実に挿入し、引き抜く際にひだの裏側まで時間をかけて丁寧に観察します。
- 最新機器と専門医の目:微細な粘膜の変化を捉える最新の内視鏡システムを駆使し、専門医が細部までチェックします。
「痛そう・面倒」を解消する、当院の4つの工夫
「検査が大事なのはわかるけれど、どうしても怖い」という方は多いはずです。当院では、検査のハードルを極限まで下げるための工夫を凝らしています。
① 鎮静剤で「眠っている間」に終了
うとうとと眠ったような状態で受けられるため、苦痛や不安を大幅に軽減できます。
② CO2(炭酸ガス)でお腹の張りをケア
腸を膨らませる際に、空気に比べて吸収が速い炭酸ガス(CO2)を使用します。検査後の「お腹がパンパンで苦しい」という不快感がほとんどありません。
③ 胃・大腸の「同日検査」で効率化
一度の来院、一度の鎮静で胃と大腸の両方をチェック可能です。忙しい方でも、スケジュールを調整しやすく、通院の負担を減らせます。
④ 経鼻・経口の選択肢
胃カメラについては、嘔吐反射の少ない鼻からの検査も選択可能です。
「5年後でいい」は本当? 正しい検査の頻度とは
一般的に、40歳を超えたら年1回の便潜血検査が推奨されます。大腸カメラで「異常なし」だった場合、次回は5年後が一つの目安とされていますが、これはあくまで目安です。
切除したポリープの性質や数によっては、1年後や3年後の再検査が必要になることもあります。「自分はいつ受けるべきか」を、検査結果に基づいて医師と一緒にプランニングすることが、見落としリスクを最小限に抑える鍵となります。
東淀川区の皆様の健康を守るパートナーとして
大腸がんは、早く見つけて処置すれば、決して怖い病気ではありません。一番のリスクは、技術の限界による見落としよりも、「不安だからと検査を先延ばしにしてしまうこと」そのものです。
当院は、地域の方々が「ここなら安心して任せられる」と思える場所でありたいと考えています。小さなお腹の違和感や、健康診断の結果への不安など、どんな些細なことでも構いません。まずは一度、私たちにご相談ください。
「受けてよかった」と思える検査を、スタッフ一同、真心を込めて提供いたします。
出典・参考:
大腸ポリープ候補を検出し大腸内視鏡検査を支援する「EIRL Colon Polyp」、検出精度を改善した新モデルを発売 | エルピクセル株式会社のプレスリリース