甲状腺疾患

そもそも甲状腺って?

甲状腺は、のどぼとけのすぐ下に位置する、羽を開いた蝶のような形をした臓器です。
身体の新陳代謝を促進する「甲状腺ホルモン」を分泌しているため、甲状腺の働きに異常をきたすと、体内のホルモンバランスが崩れ、様々な症状を引き起こします。
甲状腺に起こる代表的な疾患に、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫瘍が挙げられます。

こんな症状があると甲状腺疾患かもしれません

甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症では、共通する症状と、それぞれに特徴的な症状が見られます。
以下のような症状に気づいたときには、お早目に当院にご相談ください。

  • 倦怠感、疲れやすい
  • 足のむくみ、脱毛
  • 頻脈/徐脈
  • 多汗/皮膚の乾燥
  • 体重減少/体重増加
  • 希少月経/過多月経
  • 軟便/便秘
  • 首のしこり、腫れ

更年期障害と甲状腺の病気の違い

45~55歳くらいの女性によく見られる「更年期障害」は、甲状腺の病気の1つ「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」とよく似た症状を持ちます。
更年期障害は加齢及び閉経に伴う女性ホルモンの低下を原因とする一方で、甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンの過剰な分泌を原因とします。
原因の違いはありますが、一般の方がこの2つの病気を正確に判断することは困難ですので、症状が気になったときはお早目にご相談ください。血液検査にて、正確な診断が可能です。

甲状腺の病気の主な3つの種類

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症自己免疫の異常によって甲状腺組織が破壊され、甲状腺ホルモンが慢性的に不足する病気です。特に、40~50代の女性に多く見られます。代表的な甲状腺機能低下症に「橋本病」があります。
特徴的な症状としては、徐脈(脈が遅い)、寒がり、皮膚の乾燥、動作緩慢、眠気、もの忘れ、体重増加、過多月経、便秘などが挙げられます。
甲状腺機能亢進症と共通する症状としては、倦怠感、疲れやすさ、足のむくみ、脱毛などが挙げられます。

甲状腺機能亢進(こうしん)症

甲状腺機能亢進(こうしん)症自己免疫の異常によって抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンを過剰に分泌させる病気です。女性だけでなく、男性にもよく見られます。また、30~40代の発症が目立ちます。代表的な甲状腺機能亢進症に、「バセドウ病」があります。
特徴的な症状としては、頻脈、暑がり、多汗、手足の震え、体重減少、希少月経、軟便などが挙げられます。
また甲状腺機能低下症と共通して、倦怠感、疲れやすさ、足のむくみ、脱毛などの症状も見られます。

甲状腺の腫瘍

甲状腺の腫瘍甲状腺にできる腫瘍です。ほとんどは良性ですが、稀に悪性のものが見つかります。悪性の場合も進行は緩やかであり、基本的に直ちに命を脅かすようなものではありませんが、手術が必要になります。
良性・悪性とも、腫瘍が大きくなると、甲状腺のしこりや腫れ、違和感などの症状が出現します。
なお、良性との診断を受けた場合も、腫瘍が大きくなり悪性であることが判明するケースもありますので、定期的な検査を欠かさず受けましょう。

甲状腺の検査や治療方法

検査について

検査について検査では、血液検査や超音波検査を行います。

また、甲状腺がんが疑われる場合には、CT検査、シンチグラフィ検査、病理検査などが必要になります。

治療方法

薬による治療
【甲状腺機能低下症】

不足している甲状腺ホルモンを補充する薬を内服します。

【甲状腺機能亢進症】

甲状腺ホルモンの合成を抑える薬(抗甲状腺剤)を使用します。

アイソトープ(放射性ヨウ素)治療
【甲状腺機能亢進症】

甲状腺組織がヨウ素を取り込む性質を持つことを利用し、放射線を放出するヨウ素を内服することで、甲状腺細胞の数を減らす治療です。甲状腺が小さくなり、ホルモンの分泌が抑えられます。

【甲状腺の腫瘍(悪性)】

肺、骨など遠い臓器への転移が見られる場合に行われます。甲状腺機能亢進症に対するアイソトープ治療と比べると、使用する放射性ヨウ素の量が多くなります。

手術
【甲状腺機能亢進症】

甲状腺の一部またはすべてを取り除く手術です。ただし、術後に甲状腺ホルモンを補う薬が生涯にわたって必要になることがあります。

【甲状腺の腫瘍(良性・悪性)】

悪性(甲状腺がん)の場合は、手術が基本となります。進行は緩やかであるため、リンパ節へ転移したものも含め、きれいに切除できるケースが多くあります。
また良性と診断された場合であっても、腫瘍が大きく審美的な問題があることや、がんの可能性を完全に否定できない場合などには、手術が検討されます。

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