虚血性大腸炎とは

虚血性大腸炎とは、大腸の血管が何らかの原因で一時的に詰まったり、血流が不足したりすること(虚血)によって、大腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じる病気です。血流障害によって引き起こされる、いわば「大腸の貧血」のような状態といえます。
この病気は、「突然の激しい腹痛」で発症し、その後「下痢」、さらに「血便(鮮やかな赤色の出血)」が見られる、という特徴的な症状の経過をたどります。特に動脈硬化が進んだ高齢者や、便秘に悩む女性に多く見られますが、最近では生活習慣の乱れから若い世代にも発症することがあります。
多くは一過性で、適切な治療を行えば後遺症なく回復します。しかし、まれに腸が壊死してしまう重篤なケースもあります。突然の腹痛と血便は、自己判断せずに速やかに専門医の診察を受けるべき重要なサインです。大阪市東淀川区・上新庄に位置する当院では、患者様に対しても、迅速な診断と適切な治療で不安を取り除くことを心がけております。
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虚血性大腸炎の主な原因
虚血性大腸炎の直接の原因は「大腸の血流不足」ですが、その引き金となる要因は様々です。
便秘
最も一般的な誘因です。便秘により腸管内圧が高まると、大腸壁が圧迫され血流が悪化します。また、排便時の強いいきみも腹圧を上昇させ、血流障害の原因になります。
動脈硬化
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病で血管が硬くなると、血流が滞りやすくなり、虚血性大腸炎のリスクが高まります。特に高齢者に多い原因です。
その他の要因
● 脱水:体内の水分不足で血液が濃縮され流れにくくなる
● ストレス・疲労・睡眠不足
● 一部の薬剤(痛み止めなど)
● 血管の炎症(血管炎)
虚血性大腸炎の症状
症状は、典型的には以下の順序で現れます。
- 1 突然の激しい腹痛
- 左側腹部から下腹部にかけて、突き刺すような、あるいは痙攣するような痛みが突然起こる。
- 2 下痢
- 腹痛に続いて頻繁な下痢が起こります。最初は普通の便ですが、徐々に水のような便に変化する。
- 3 血便
- 腹痛や下痢の数時間後に、鮮やかな赤い血が混じった便(鮮血便)が大量に出る。出血量は比較的多いことが多い。
その他、吐き気や冷や汗を伴うこともあります。感染性腸炎と異なり、発熱は軽度またはほとんど見られないのが特徴です。
虚血性大腸炎の検査・診断
特徴的な症状の経過から強く疑われますが、他の重篤な疾患(感染性腸炎、大腸憩室炎、大腸がんなど)との鑑別を行うために、以下の検査を行います。
腹部エコー・CT検査
大腸の壁のむくみ(肥厚)を確認。特にCT検査は、診断・重症度判定に有用です。
血液検査
炎症の程度や貧血の有無を評価
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
診断確定に最も重要な検査。発症から少し時間をおいて、腸の状態が落ち着いたタイミングで行う。大腸の粘膜が赤く腫れ、出血や潰瘍がある様子を直接観察することで、特徴的な「区域性」の病変(炎症がある部分とない部分がはっきりと分かれている)を確認し、確定診断を実施。
虚血性大腸炎の治療法
治療の基本は腸を休ませて安静に保つことです。ほとんどの「一過性型」は保存的治療で1〜2週間程度で改善します。
保存的治療
● 絶食・点滴: 腸の負担を避けるため、食事を止めて水分や栄養を点滴で補給。軽症例では水分摂取のみの場合もあります。
● 薬物療法: 二次感染を防ぐために抗生物質を投与することがあります。
入院・手術
腹痛が非常に強い場合、出血が止まらない場合、あるいは腸管の狭窄や壊死といった重症型が疑われる場合は、入院による厳重管理が必要です。腸が壊死してしまった場合は、緊急手術でその部分を切除する必要がありますが、これは非常にまれなケースです。
食事と再発予防
症状改善後は、おかゆなどの消化の良い食事から再開します。退院後は、再発予防として便秘の改善や生活習慣の見直しが重要です。
● 食物繊維と水分を十分に摂る
● 適度な運動を心がける
● 高血圧・糖尿病などの生活習慣病管理
大阪市東淀川区・上新庄で虚血性大腸炎かもと思ったら

虚血性大腸炎は再発することもあります。
特に一度経験した方は定期的な検査や日頃から便通を整える生活を意識しましょう。
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