クローン病とは
消化管に炎症を引き起こす病気です
クローン病は、口から肛門までの消化管に慢性的な炎症を引き起こす原因不明の病気です。国の指定難病に定められており、長期にわたる治療が必要になります。症状の悪化(再燃)と軽快(寛解)をくり返すため、寛解が長く続く状態を目指して治療を行うことが大切です。
こんな場合はご相談ください
- 下痢が続く
- 貧血がある
- 腹痛がある
- 体重が減少した
- 発熱がみられる
- 食欲がない
- 全身がだるい
- 腹部にしこりがある
クローン病の原因
原因が解明されていません
クローン病は、異物から身体を守る免疫システムが何らかの原因で自身の細胞に働いてしまうことで、症状を起こしているとされる病気です。さらに、家族性や人種、地域差、遺伝的要因や、腸内細菌、高脂肪食、過剰な清潔、感染などの環境因子も複雑に関与していると考えられています。なお、遺伝的要因に関しては、クローン病を引き起こすとされる遺伝子の解明が進められており、今後も研究が進む見通しです。
クローン病の症状
寛解と再燃をくり返します
クローン病は、寛解と再燃をくり返す炎症性疾患です。主な症状は下痢や腹痛、発熱、食欲低下、貧血、体重減少などで、寛解の状態を目指して症状をコントロールすることが重要とされています。発症直後は急性症状に関する治療を行い、その後は症状が悪化しないように治療を継続します。
クローン病の検査
大腸カメラ
クローン病の診断には、大腸カメラを用いた検査を行います。当院では、内視鏡検査の専門医による大腸カメラ検査を実施し、クローン病の精査・診断を実施しております。検査時は寝たまま検査が受けられる静脈内鎮静法を導入し、患者さんの負担軽減を心がけています。
胃カメラ
他の病気と鑑別するために、胃カメラ検査を行う場合もあります。胃や十二指腸に異常がないかを丁寧に確認することで、クローン病の診断をより確実に行います。当院では内視鏡専門医が胃カメラ検査にも対応しており、患者さんの負担軽減に努めながら検査を実施します。
血液検査
炎症の程度や貧血の有無、栄養状態の確認などを目的に血液検査を実施します。クローン病では、定期的に血液検査を行うことで、治療効果の判定や状態変化を的確に行うことができます。
CT・MRI検査
患者さんへの負担が少ない検査としてCTやMRI検査を実施することもあります。これらの検査によって、消化管の炎症の評価や、他臓器の異常の発見ができます。医療機器の発達に伴い、CTやMRI検査の精度は高まっており、治療に大きく貢献できます。
クローン病の治療方法
薬物療法
クローン病では、抗炎症薬や免疫抑制薬、生物学的製剤を用いて、症状の軽減と炎症の制御を行います。対症療法も併用し、患者と医師が連携して治療プランを進め、生活の質を向上させることを目指します。
栄養療法・食事療法
クローン病では消化器官の炎症により、水分や栄養成分が十分に吸収できない場合があります。そのため、病気の重症度や血液検査の結果を見ながら、栄養療法や食事療法をご提案させていただくことがございます。食事は脂肪を制限したものを摂取していただき、腸への負担を軽減します。
外科的治療
クローン病では、肛門部に異常がみとめられる場合や内科的治療の効果が乏しい場合などに外科的治療を選択する必要が出てきます。腸管の炎症が特に強い部位を切除したり、狭窄している部位を広げたりすることで、状態の改善を目指します。