糖尿病の足病変：原因、症状、そして予防方法

2024.08.01

糖尿病の足病変：原因、症状、そして予防方法

糖尿病は、血糖値が高くなる慢性的な疾患であり、さまざまな合併症を引き起こすことがあります。その中でも、足病変は特に注意が必要です。足病変は、糖尿病患者の生活の質を著しく低下させ、最悪の場合、足の切断に至ることもあります。本記事では、糖尿病の足病変の原因、症状、そして予防方法について詳しく解説します。

糖尿病の足病変とは？

糖尿病性神経障害とは？

糖尿病性神経障害は、長期間にわたる高血糖が原因で神経が損傷し、感覚が鈍くなる状態です。足に感じる痛みや温度の変化に気づきにくくなり、小さな傷や擦り傷が悪化しやすくなります。
糖尿病性の神経障害には「知覚神経障害」と「自律神経障害」の二種類が存在します。知覚神経障害では、知覚に関わる神経が阻害されることにより、足のしびれやこむら返りが度々引き起こされます。自律神経障害では汗量が減って肌が乾燥しやすくなるため、肌荒れが生じやすくなります。

血行障害とは？

高血糖は血管を損傷し、動脈硬化を引き起こすことがあります。これにより、足への血流が低下し、傷の治癒が遅くなるとともに、感染症のリスクが高まります。また、血行障害によって血が足の末端まで十分に行き渡らないことで足が冷たくなる・皮膚の色が悪くなるなどの自覚症状が現れます。

足病変の症状

初期症状

足のしびれや痛み
足の冷感
皮膚の乾燥やひび割れ
小さな傷や潰瘍

進行した症状

足の変色（赤、青、黒）
腫れや発赤
悪臭を伴う分泌物
深い潰瘍や壊疽

足病変の予防方法

血糖値の管理

血糖値を正常範囲に保つことは、足病変の予防に最も重要です。定期的な血糖値測定と医師の指導に従った食事療法、薬物療法を徹底しましょう。

足のセルフチェック

毎日、自分の足をチェックする習慣をつけましょう。傷や異常を早期に発見することで、重篤な合併症を防ぐことができます。左右の足の状態を見比べることで、色や皮膚温度の変化、腫れやむくみの有無に気付きやすくなり、病変の早期発見につながります。

適切なフットケア

適切なフットケアも予防には欠かせません。以下の方法を参考にしてみてください。

足を毎日温かい水と石鹸で洗い、よく乾かす
保湿クリームを使用して皮膚の乾燥を防ぐ
鋭利な爪切りやカミソリの使用を避ける
しっかりと足に合った靴を履く

定期的な医師の診察

定期的に医師の診察を受け、足の状態をチェックしてもらうことも重要です。専門医による診察やケアは、自己管理では難しい問題を早期に発見し、対処する助けとなります。医療機関によっては「足みまもり外来」や「創傷ケア外来」、「靴外来」など、糖尿病患者の方のフットケアに特化した外来を設けていることもあります。

足病変が発見された場合の対処法

薬物療法

感染症を防ぐための抗生物質や、潰瘍の治癒を促進する薬が処方されることがあります。専門医が足病変を診察し、病変が細菌や水虫によるものだと確認した場合には、菌の種類に応じて適宜抗菌薬などが処方されます。

物理療法

特別な包帯や靴を使用して、足への圧力を軽減し、傷の治癒を助けます。足にタコがある場合は必要に応じて削り、インソールなどを使用しながら足の負担を軽減させていきます。

手術

すでに足の一部で壊疽が進行しているケースなど、重篤な病変の場合には、壊疽の部分を切除する手術など外科的な治療が必要になります。そのほかの手術の種類には、痛みの原因となる足変形を治療するためのものや、すでにできた傷を治療する外科的な対処もあります。

まとめ

糖尿病の足病変は、日常の注意と適切なケアによって予防可能な合併症です。血糖値の管理、足のセルフチェック、適切なフットケア、定期的な医師の診察を徹底することで、足病変のリスクを大幅に減らすことができます。万が一、異常を発見した場合は、速やかに専門医の診察を受けることが重要です。玉谷クリニックでは、糖尿病患者の皆様に安心して生活していただくために、専門医による診察とサポートを提供しています。足病変の予防や治療についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。