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2020.09.03

高齢者の糖尿病⑧~高齢者糖尿病の薬物使用時の注意点と推奨される使用法~

こんにちは。高齢者の糖尿病についてのコラムもついに第8回目となりました。第6回、第7回と実際に使用される薬剤の種類と特徴を見てきましたが、今回は高齢糖尿病患者の治療において注意を要する薬物と推奨される使用法について見ていきたいと思います。最後までお付き合い宜しくお願い致します。

非定型抗精神病薬

代表的な一般名

オランザピン、クエチアピン、クロザピン、アリピプラゾール、リスペリドン

主な副作用

血糖値上昇

推奨される使用法

糖尿病患者に対して、オランザピン、クエチアピンは禁忌、クロザピン、アリピプラゾールは警告、リスペリドン及びその他の非定型抗精神病薬は使用上の注意で慎重投与。

ビグアナイド薬

代表的な一般名

メトホルミン、ブホルミン

主な副作用

嘔気、下痢、乳酸アシドーシス

推奨される使用法

75歳以上の高齢者では慎重に投与する。eGFR30mL/分/1.73m2未満は禁忌。高齢者に対してはブホルミンは禁忌。

DPP-4阻害薬

代表的な一般名

シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン、トレラグリプチン、アナグリプチン、オマリグリプチン

主な副作用

低血糖(SU薬との併用時)、便秘、類天疱瘡、腸閉塞

推奨される使用法

高用量のSU薬と併用する場合は減量する

スルホニル尿素薬(SU薬)

代表的な一般名

アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリクロピラミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド

主な副作用

低血糖の遷延

推奨される使用法

できるだけ少量で使用する。代替薬としてDPP-4を考慮。eGFR30ml/分/1.73㎡未満は原則使用しない。

SGLT2阻害薬

代表的な一般名

イプラグリフロジン、ダパグリフロジン、ルセオグリフロジン、トホグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン 

主な副作用

低血糖(SU薬との併用時)、脱水、尿路・性器感染症、ケトアシドーシス

推奨される使用法

75歳以上の高齢者や老年症候群を合併した前期高齢者では慎重に投与する。eGFR30mL/分/1.73m2未満は使用を控える。
利尿剤使用の患者では脱水に注意して慎重に投与する。

チアゾリジン薬

代表的な一般名

ピオグリタゾン

主な副作用

浮腫、骨粗鬆症・骨折(女性)、心不全

推奨される使用法

心不全患者、心不全既往者、肝機能障害、膀胱癌患者には使用しない。
高齢者では少量から開始し、慎重に投与する。

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-Gl)

代表的な一般名

アカルボース、ボグリボース、ミグリトール

主な副作用

下痢、便秘、放屁、腹満感、肝機能障害

推奨される使用法

腸閉塞などの重篤な副作用に注意する。
開腹術の既往の患者や肝障害の患者では使用を控える。

速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

代表的な一般名

レパグリニド、ミチグリニド、ナテグリニド

主な副作用

低血糖

推奨される使用法

少量で使用する。ナテグリニドは、透析を必要とするような重篤な腎機能障害のある患者では禁忌。

スライディングスケールによるインスリン投与

代表的な一般名

すべてのインスリン製剤

主な副作用

低血糖

推奨される使用法

高血糖性昏睡を含む急性病態を除き、可能な限り使用を控える。

以上、経口血糖降下薬を安全に服用する為に、一般的な副作用、重大な副作用だけではなく、使用法とその注意を記載しました。主治医とよく相談をしながら薬剤を決めていきましょう。

当院では生活習慣に関する指導から糖尿病の専門的な治療まで手厚いサポートをお約束いたします。また栄養管理士や糖尿病療養指導士も在籍しており、専門的な治療により早期発見・早期治療に努めております。気になられることはぜひ当院まで気軽にご相談ください。

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