目次
3人に1人がかかる生活習慣病「脂肪肝」とは?
あなたは大丈夫?脂肪肝の症状チェックリスト
脂肪肝の原因とは?
脂肪肝を放っておいたらどうなる?
脂肪肝の検査・治療方法
ご自宅でできる、脂肪肝の改善方法
脂肪肝に特効薬はありません
肝臓に中性脂肪が蓄積する「脂肪肝」は、肥満やお酒の飲みすぎだけでなく、運動不足や過度なダイエットなどによっても引き起こされます。ここでは脂肪肝の症状や検査方法のほか、改善法や直し方をご紹介していきます。
3人に1人がかかる生活習慣病「脂肪肝」とは?
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が溜まっている状態のこと。脂肪が肝臓全体の30%以上を占めていると脂肪肝と診断されます。
近年脂肪肝にかかる患者は増加しており、日本人の3人に1人、また男性の40%が脂肪肝であると言われています。日本人の中には、肥満体型ではないやせ型の方でも脂肪肝と診断される方がいて、2~3㎏体重が増えただけでも肝臓に脂肪が溜まる可能性はあります。
以前は脂肪肝は軽い病気と考えられていましたが、近年では脂肪肝が肝硬変や肝臓がんなどの深刻な病気へと進行することや、メタボリックシンドロームや糖尿病を合併して起こす可能性が高いことも分かってきており、注意が必要です。
通常、食事で摂った脂質はまず小腸で吸収され肝臓に運ばれた後、脂肪酸に分解されます。 また、糖質はブドウ糖に分解されて同様に小腸で吸収された後に肝臓で中性脂肪に変化します。
このように肝臓には脂肪酸と中性脂肪が存在しており、通常は消費されることでバランスが取れているのですが、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが多くなると、使いきれなかった脂肪酸や中性脂肪が肝臓に蓄積されてしまい脂肪肝となります。
あなたは大丈夫?脂肪肝の症状チェックリスト
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることもあるほど、他の臓器と比べ症状が出にくい臓器。
脂肪肝についても、初期には目立った自覚症状は現れません。逆に言うと、自覚症状が現れるということは既に症状が進行しているということでもありますので、気づいた際にはすぐに受診するようにしましょう。
脂肪肝は、いわゆる「ドロドロ血」になり血流が悪くなるため、全身の細胞に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなります。そのため、以下のような症状が現れます。
・全身の倦怠感
・疲れやすい
・足がむくむ
・頭がボーっとする
・肩が凝る
・お腹の膨満感
・黄疸
・食欲低下、消化不良
脂肪肝の原因とは?
肝臓の病気というと、お酒の飲みすぎとイメージされることもありますが、それだけが原因ではなく、食べ過ぎや飲みすぎ、無理なダイエットなどによる生活習慣の乱れが原因とされています。
肥満
日本人の脂肪肝の原因として挙げられるのは、食べ過ぎや運動不足による肥満です。特に、普段から脂質や糖質の多い食事をしていると余った中性脂肪が肝臓にどんどん蓄積されてしまいます。
運動不足により消費エネルギーが少ないことも、摂取エネルギーが過剰となり肝臓に中性脂肪が溜まる原因となります。
また、通常食事をするとインスリンというホルモンが肝臓に作用して血糖値をコントロールすることができますが、肝臓に中性脂肪が蓄積されるとインスリンが正常に働かないインスリン抵抗性が生じてしまいます。
インスリン抵抗性が進行すると、高血糖や肥満が進行し更に肝臓に中性脂肪が蓄積されやすくなる悪循環となります。
お酒の飲みすぎ
お酒の飲み過ぎも脂肪肝の原因となります。アルコールが分解される際、中性脂肪が合成されやすくなり肝臓に蓄積されていきます。
無理なダイエット
近年では無理なダイエットによって脂肪肝になる方も増えています。過剰な食事制限で必要な栄養が不足すると体が飢餓状態となり、低栄養性脂肪肝と呼ばれる脂肪肝になる可能性があります。
脂肪肝を放っておいたらどうなる?
脂肪肝を放置すると、肝細胞の破壊や炎症によって肝硬変や肝臓がんへと進行するリスクがあります。
脂肪肝には、アルコールが原因である「アルコール性脂肪肝」と、アルコール以外が原因となる「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」の2種類に分類されます。
さらに、「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」は「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」「単純性脂肪肝」に細分化されます。
アルコール性脂肪性肝炎(ASH)
アルコールの過剰摂取による脂肪肝は、やがて肝臓の炎症を起こします。このような肝炎をアルコール性脂肪性肝炎(ASH)と呼び、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクがあります。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
食べ過ぎや運動不足などアルコール以外が原因で起こる肝炎を非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と言います。アルコール性脂肪性肝炎(ASH)と同様に肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があります。
アルコールとは関係なく全ての人に発症する可能性があるため、お酒を飲まない人でも注意が必要です。
脂肪肝の検査・治療方法
検査方法
脂肪肝は、血液検査や超音波検査などで診断します。血液検査では、肝機能を表わすGOTやGPT、γ-GPT、中性脂肪などの項目を調べることが出来ます。脂肪肝が疑われる数値は以下の通りです。脂肪肝が疑われる数値は以下の通りです。
GOT:基準値 7~38 IU/L
GPT:基準値 4~44 IU/L
γ-GTP:男性→80 IU/L 以下、女性→30 IU/L 以下
また、超音波検査では、肝臓の脂肪の沈着の程度など血液検査だけでは分からない臓器の物理的な異常の有無を確認します。
治療方法
脂肪肝の治療方法は、生活習慣の改善が基本となります。
内臓脂肪や皮下脂肪と違って肝臓の脂肪は減らしやすいですが、一方で脂肪は肝臓からつきやすいという特徴もあり、生活習慣が元に戻ると再発しやすくなります。
食事や運動、禁酒などで肝臓に溜まった中性脂肪を減らし肝機能を回復させることが出来ますので、まずはご自身の生活習慣を見直し改善に取り込みましょう。
ご自宅でできる、脂肪肝の改善方法
脂生活習慣の改善には、食事と運動の両方から取り組むことが重要です。特に食事については、食べ過ぎによる過剰なカロリー摂取に注意しバランスの良い食事を心掛けましょう。
ご飯・パンなどの糖質を摂りすぎない
糖質を過剰に摂取すると肝臓に中性脂肪が溜まりやすくなります。特に日本人は米を主食としているため、糖質を摂りやすい傾向にあります。脂肪肝の改善のため、主食の摂り過ぎや糖質を多く含むお菓子や果物などの食べ過ぎに注意しましょう。 食事では、主食と主菜や副菜を組み合わせ、野菜やタンパク質などをバランス良く摂取するようにしましょう。
なるべく緑茶を飲む
脂肪肝の治し方の一つとして、緑茶も有効と言われています。ストレス・喫煙・飲酒などで発生する活性酸素は酸化ストレスと呼ばれ、肝細胞に悪影響を及ぼします。緑茶に含まれるカテキンがこの活性酸素を減少させることで脂肪肝にも効果があるということが分かってきました。
野菜などの食物繊維を先に食べる
野菜に含まれる食物繊維は、腸からの糖質や脂質の吸収を穏やかにしてくれる作用があり、脂肪肝の改善に効果的です。また、野菜類は血糖値の急激な上昇を抑えてくれるので、食事の最初に食べることで血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの分泌を抑えて中性脂肪の蓄積を抑制します。ちなみに、低カロリーである野菜類を先に食べると満腹感が得られ、食べ過ぎ防止にもなりますよ。
適度な運動を心がける
適度な運動も、脂肪肝の直し方の一例として挙げられます。ダイエットの意味でもウォーキングや軽いジョギング、水泳など無理のない有酸素運動を継続して行うことが効果的です。
脂肪は筋肉によって燃焼されるため、まずは筋肉量を増やすことも必要です。軽い筋トレは肝機能の改善になり、インナーマッスルの強化は基礎代謝の増加により太りにくい体質をつくることができます。
アルコールは控える
アルコールが原因の脂肪肝の治し方としては、禁酒が必須になります。お酒はカロリーが高いだけでなく、一緒に摂取しがちなおつまみが高カロリーとなる場合もあります。また、お酒を飲む際に主食を摂らないという方もいますが、かえって栄養バランスが偏り肥満の原因となるので注意が必要です。
脂肪肝に特効薬はありません
脂肪肝には特効薬はありませんが、生活習慣の見直しで改善することが出来ます。
重要なのは、無理なく継続することです。肝硬変や肝臓がんなど深刻な合併症を予防するためにも、脂肪肝が疑われる方は早期に受診を行い、医師の指示に従って治療に取り組みましょう。