目次
ホットフラッシュは、更年期障害の代表的な症状
ホットフラッシュの原因とは?
のぼせ・ほてりには、ホットフラッシュ以外の病気が隠れていることも
ホットフラッシュの治療方法は?
ホットフラッシュが出たときの対策方法3つ
ホットフラッシュは、更年期障害の代表的な症状
更年期の代表的な症状といわれるホットフラッシュには以下のような症状があります。
急な発汗・体のほてり
気温に関係なく、急な発汗があります。同時に顔や体のほてりを感じることもあります。
手足の冷え
体幹部は発汗しているにもかかわらず、手足には冷えを感じることがあります。
急な激しい動悸
心臓の動きが急に強くなる、もしくは早くなると感じることがあります。
寝ている間の大量の発汗
就寝時に大量の汗をかきます。度重なるホットフラッシュは睡眠障害を招くこともあります。
ホットフラッシュの原因とは?
ホットフラッシュの主な原因は、自律神経の乱れといわれています。自律神経の乱れを招く要因としては以下のものがあげられます。
ホルモンバランスの乱れ
女性の体内で閉経に向けて女性ホルモンの分泌が減少すると、一時的にホルモンバランスの乱れが起こります。脳の「視床下部」という部位は、ホルモン分泌を司ると同時に自律神経を調整する役割も果たしているため、ホルモンバランスが乱れると自律神経の正常な働きも阻害されてしまいます。
睡眠不足
自律神経には、主に昼間に優位になる交感神経と、夜間に優位になる副交感神経との二種類があり、それぞれが適切な働きをすることで体内の正常な機能が成り立っています。睡眠不足は自律神経の正常な動きを阻害するため、ホットフラッシュを引き起こす要因になります。
ストレス
ストレスを感じると、脳の視床下部で「アドレナリン」や「コルチゾール」というストレスに対抗するホルモンが分泌されます。アドレナリンやコルチゾールは女性ホルモンの正常な働きを抑えてしまうため、ホルモンバランスが崩れ、それによって自律神経の乱れが引き起こされます。
運動不足
運動不足により体に溜まったストレスが発散されず、睡眠不足やホルモンバランスの乱れが起こる場合があります。これらの要因で自律神経の乱れが生じやすくなり、ホットフラッシュの症状が現れることがあります。
のぼせ・ほてりには、ホットフラッシュ以外の病気が隠れていることも
体ののぼせ・ほてりはホットフラッシュの特徴としてもあげられますが、場合によってはホットフラッシュ以外の病気が隠れていることもあります。
例えば、体のほてりは糖尿病の症状の一つとも考えられます。特に、少食で筋肉が少ないやせ型の女性は、閉経の前後で糖尿病のリスクが上がると言われています。
また、ホットフラッシュと同時に、動悸や息切れ、手足のしびれなどを感じる場合は、高血圧が疑われます。女性は閉経後、「エストロゲン」というホルモンが減少すると高血圧になりやすい傾向があるため注意が必要です。
その他、ホットフラッシュの発汗に加え、頻脈(脈が早くなること)や急な体重減少が認められる場合は、喉元に位置する「甲状腺」に関連する病気の可能性もあります。
気になる症状がある場合は、自己判断せず早めの受診を検討しましょう。
ホットフラッシュの治療方法は?
ホルモン補充療法
ホットフラッシュには、減少したホルモンを補充することで症状の緩和を図る「ホルモン補充療法」が有効です。
ホルモン補充療法は、ホットフラッシュの頻度を少なくすることに加え、骨の密度を維持したり心疾患のリスクを下げたりする効果も期待できます。
体質によっては副作用的な症状として、不正出血や胸の張り、稀に血栓症などが現れる場合があるため、それぞれの方の体質や健康状態に応じて、ホルモンの種類や量が慎重に検討されます。
漢方薬
漢方薬はホットフラッシュに限らず、更年期に現れる様々な症状を緩和するのに効果的です。漢方薬はホルモンの変動に影響しないため、上述したホルモン補充療法と併せて使用されたり、子宮体がんや乳がんの既往歴を持つ方に使われたりと、幅広い治療に対応することが特徴です。
プラセンタ療法
「プラセンタ」とは英語で「胎盤」の意味がありますが、広義では胎盤からの抽出成分で作られた製剤を指します。プラセンタ療法とは、プラセンタを注射剤で投与し更年期障害の症状を和らげる治療法です。一週間に1、2回程度の注射を行うことによって、ホットフラッシュなどの症状を緩和することができます。
ホットフラッシュが出たときの対策方法3つ
ここではホットフラッシュが起きたときの対処法を3つご紹介します。
どれも日常的に取り入れやすいので、ぜひ実践してみてください。
顔や顔まわりを冷やす
ホットフラッシュで体に熱さを感じたときには、保冷剤などを使って顔や首を冷やしましょう。首元には太い血管があるため、首周りを冷やすことで、即座に冷えた血液を全身に巡らせることができます。
洋服で体温を調整する
ホットフラッシュは、外気や室内の温度とは関係なく突然に起こります。ホットフラッシュが起きた際に体温の調整がしやすいよう、日頃から洋服の組み合わせを工夫してみましょう。厚着が必要な季節であれば、厚手の服を一枚着るよりも、薄めの物を何枚か重ね着するなどして、必要に応じて調整できるよう意識しましょう。
腹式呼吸をする
ホットフラッシュは、自律神経の一つである交感神経が過剰反応することにより引き起こされます。腹式呼吸は、交感神経に対応する副交感神経を優位にして、交感神経を落ち着かせることに有効です。
【腹式呼吸の手順】
1.リラックスした姿勢で腰掛ける
2.胸の下あたりに手を当てる
3.ゆったりしたリズムで鼻から息を吸い込み、手を当てた辺りがふくらむのをイメージする
4.ゆったりしたリズムで鼻から息を吐きだし、手を当てた辺りがへこむのをイメージする
生活に支障を感じたら、すぐに受診を
更年期障害の代表的な症状として耳にするホットフラッシュには、日常的にできる対処法や、様々な種類の治療法が存在します。更年期障害の症状だと思い、つい自己判断してしまいがちですが、気になる症状の奥には病気が潜んでいる場合もあります。
ホットフラッシュによって生活に支障を感じることがあった時にはすぐに医療機関を受診し、適切な検査を受けてご自分の状態を確認しましょう。